新Mmの憂鬱、「Malexa、良い抗体作って」中外製薬が挑むAI抗体創薬の衝撃
皆さん、お元気ですか?
取材対象の名前とファージ・ライブラリーの数(40万個⇒400億個)を修正いたしましたので、改めてアップいたします。お手数ですがご一読願います。
この動画を見ると、涙がぽろぽろ零れます。
https://www.youtube.com/watch?v=Gihhz7AMghc
でも、この涙は同情や哀れみ、悲しみの涙ではありません。まして、薄っぺらな賞賛や安堵の涙でもありません。何回も見て、何回も涙が零れて、体得したのは、この涙は池江璃花子選手の生命力に、私の命が共鳴して、身体の底から湧き上がってくる喜悦の涙だということでした。生きていることこそが尊い、という感動です。
白血病に倒れ、抗がん剤治療と多分骨髄移植で寛解した後も、体重が15kgも減り、東京オリンピックを諦め、次のパリ・オリンピックを目標に、零からもう一度こつこつと努力を続けてきた池江璃花子選手の労苦が4年早く稔ったことは、皆さんもご存知の通りです。この動画の素晴らしさは、苦しいリハビリやトレーニングは、他人の期待に応えるためではなく「自分は水泳が好きだから」と宣言していることです。余計な第三者や協会などの期待に忖度せず、池江璃花子選手がこれからもセンター・レーンで、好きな泳ぎをただただ堪能するだけを願っています。最後にこの動画をスポンサーした米Procter & Gamble社の懐の深さに感謝します。SKⅡというブランド名を遠慮がちに示しただけという姿勢に、賢さと愛を感じました。
日経BP社の突然の休刊の判断を受けて、バタバタとサイトを構築、皆さんになんとか継続してコラムを提供して参りました。その新Mmの憂鬱も今回で50回目のコラムとなりました。バイオや先端医療のキーマンやリーディング企業の皆さんのご購読をいただき、順調に成長しつつあります。まずは皆さんに、心からの御礼を申し上げます。そのお礼という訳ではありませんが、巻末のスポーツ解説では、池江璃花子選手の東京オリンピック代表選出までの道のりを美しく描いた動画のリンクを示してありますので、是非、ご覧願います。
さて、バイオです。我が国の製薬企業はDx(デジタルコンバージョン)に熱に浮かされたように取り組んだり、宣伝したりしておりますが、その内容は流通・生産・販促のデジタル化に留まっています。製薬企業の心臓である新薬創製にAI(人工知能)を活用した成功例は、昨年1月に大日本住友製薬が英Exscientia社と共同で、ヒット化合物から治験(FIM)までわずか12か月で実現したことしか知りませんでした。しかし、とうとう中外製薬の研究チームがAI(機械学習)を応用、国産の高親和性の抗体創薬に成功いたしました。取材して気が付きましたが、AI創薬の勝者は先行して抗体などの新しいモダリティの経験とデータを蓄積した企業です。AIで新薬開発の遅れを取り戻そうと考えている読者がいたら、その考えは大いなる錯誤です。AIは強い企業をより強くする非情な技術でした。AIは我が国の製薬企業の再編成のエンジンとなるかも知れません。
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