皆さん、お元気ですか?
ロシア軍のウクライナへの侵攻はまったく目を離せない状況になっています。毎晩遅くまでBBCやCNNに噛り付いています。日本のオールド・メディアのカバーは余りにも希薄です。これは世界の構造変えてしまうかも知れない事態で、当然、バイオ・イノベーションやベンチャーの上場や成長にも深い影響を与えます。既に我が国でもサイバー攻撃により工場の操業停止などが起こっていますが、これはもう本当に他人事ではありません。ウクライナの邦人保護に加え、ロシア軍の戦術核の使用による世界の終りが始まらぬよう、我が国も外交努力を払うべきです。どうやらポーランドに日本政府のチャーター機が待機しているという情報がTwitterでもたらされており、これが真実であることを祈るだけです。

さて、こうした悲惨な状況でもイノベーションは止まりません。デザイン細胞のパイオニアであるCAR-T細胞の治療対象がB細胞性白血病から多発性骨髄腫に拡大しつつある息吹を2022年2月4日のメールでお伝えしたばかりですが、2022年2月28日に米国Janssen Pharmaceuticals社が米国食品医薬品局(FDA)から同じく多発性骨髄腫に対するCAR-T細胞の認可を獲得しました。詳細に調べてみると、これは抗原を変えたただのCAR-T細胞ではなく、一ひねりしたCAR-T細胞、次世代のデザイン細胞でした。今後、急速に複数の遺伝子を操作・ゲノム編集したデザイン細胞の時代を告げる狼煙だったのです。流れは本当に早い。この流れに乗らないと、2014年に薬機法を施行、欧米に先駆けて再生医療実用化に先手を取った我が国の優位性が失われる土壇場に我々は直面することになります。

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皆さん、お元気ですか?
2022年1月20日、新年早々、ブリストル・マイヤーズ・スクイブが我が国の厚生労働省からCAR-T細胞「アベクマ」(idecabtagene vicleucel)の製造販売認可を獲得しました。年内に四番目のCAR-T細胞が我が国の病院で処方されることになります。CAR-T細胞はリアル・ワールド・データでもB細胞性白血病の奏効率を増加、OS(全生存期間)延長、そして投与早期にCR(完全寛解)に達した患者に長期効果、つまり完治を期待できる可能性があることも示されるようになってきました。手術、放射線療法、抗がん剤・分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤、そして第五の癌の治療手技としてCAR-T細胞やTCR-T細胞など癌免疫細胞治療が着実に定着しつつあります。しかし、今まではCD19抗原を細胞表面に持つB細胞性白血病のみに薬効が限定されておりました。こうした第一世代のCAR-T細胞の限界を打破したのがアベクマです。アベクマが結合するのはB細胞成熟抗原(BCMA)であり、初めてCAR-T細胞として多発性骨髄腫を治療することができる製剤となりました。しかし、こうした標的抗原の拡大は次世代のCAR-T細胞療法の出現の第一歩に過ぎません。昨年の後半から今年に入り急速に開発が進みつつある次世代CAR-T細胞開発の最先端をお伝えいたします。

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