皆さん、お元気ですか?
まるでオーケストラの指揮者のように200から300の遺伝子の発現を調節すると考えられているmiRNA(マイクロRNA)が、Ⅱ型糖尿病にも関係している可能性を、米国国立衛生研究所(NIH)国立ヒト・ゲノム研究所 (NHGRI)のグループが発見、本日論文発表した。我が国では、癌細胞で発現が低下するmiR-3140-3pを補充するmiRNA医薬MIRX002によって癌を治療する医師主導治験が、2022年1月からPURMX Therapeutics社が着手しています。同社は広島大学発のベンチャー企業です。今までmiRNA医薬の治療標的は癌に集中してきましたが、今回の発表で糖尿病など幅広い疾患にmiRNAを標的として新薬開発が可能であることが明らかになったのです。皆さんにも是非、今後miRNA創薬にご注目いただきたいと思います。
Mmの憂鬱、NIH、Ⅱ型糖尿病発症に関連するmiRNAを同定、miRNAが創薬標的に
新Mmの憂鬱、2023年に注目すべき25のバイオ新潮流(5、完結)、中分子薬、mRNA創薬、放射線同位元素バインダーの実用化
皆さん、お元気ですか?
昨日のMiyaman’s Venture Talkに多数の読者が参加いただき、大変ありがとうございました。オンコリスの浦田社長、不屈の精神と失敗から大胆に学ぶ姿勢に感銘を受けました。ジェット・コースター・カンパニーを綽名を付けましたが、浦田さんの会社なら必ず底を打って、復活し無事、成功に辿り着くという意味に、今回のお話を受け転じました。“オンコリス不死鳥伝説”はどうやら本物です。フェーズ2の患者登録が終わったので、放射線療法の併用薬としてのテロメライシン(次世代腫瘍溶解ウイルス)の製造承認申請を、2024年に成功することを祈っています。皆さんも是非、注目願います。
さて、老化のメカニズムには今年注目していただきたいと思います。宮田満のバイオ・アメージングでは老化研究の先端をご紹介していきます。
●2023年1月26日午後3時から午後4時、宮田満のバイオ・アメージング
今年も老化のメカニズムとアンチ・エージングの研究を追求します。
「老化T細胞が自己免疫病や 慢性炎症疾患を引き起こすメカニズムの解明 ―老化関連疾患を抑制せよ!」服部 雅一 氏(京都大学医学研究科 がん組織応答共同研究講座 特定教授)をお招きして、加齢に伴い増加・蓄積する「老化関連T細胞(SA-T細胞)」が慢性炎症や自己抗体の産生を引き起こすメカニズムを解明。人為的に阻害して免疫老化や自己免疫疾患を抑制できる可能性を議論します。下記より詳細にアクセスの上、お申込み願います。
https://www.jba.or.jp/event/post_56/
2023年も新しいモダリティや治療概念が発展する年となりそうです。コンセプト・チェンジに対応しないと、あっと言う間に取り残されるリスクがあります。今回はその予兆の続きを皆さんと共有いたします。新年の始めに、昨年末から膨大な資料をぐつぐつ煮詰めて、今年皆さんが注目すべき25のバイオの新潮流をまとめました。本日はその25の中から、以下の4つの注目すべき、バイオ新潮流を紹介いたします。
●中分子医薬の萌芽
●mRNAワクチンで存亡の危機に瀕する我が国のワクチン・メーカー
●放射性同位元素標識バインダーの実用化
新Mmの憂鬱、糖尿病の根本治療薬となる膵臓β細胞増殖因子の発見に肉薄したのか?
皆さん、お元気ですか?
患者数5億3700万人(国際糖尿病連合:IDF糖尿病アトラス第10版)。しかも、今後、患者数の増加が避けられない糖尿病の克服は隠れたパンデミックともいうべき地球的課題です。発症の根本原因はインスリンを分泌する膵臓のβ細胞数の減少もしくは疲弊です。β細胞増殖因子の探索こそ、バイオテクノロジーの研究者の大きな夢でした。その夢の実現に、肉迫したグループが現れました。そしてなんと、そのβ細胞成長因子は脂肪から分泌されていたのです。まったく予想外の糖尿病の治療標的が発見されたのかも知れません。