新Mmの憂鬱、新たな創薬資源、集団ゲノムから新薬誕生

皆さん、お元気ですか?
最後の2試合を、スアレス選手のゴールによって、連続逆転勝ちして、とうとうアトレチコ・マドリードがリーガ・エスパニョーラの優勝を勝ち取りました。万歳です。年齢を理由に、バルセロナから放擲されたスアレス選手が自分はまだ優勝をもぎ取れる実力があることを見せつけた試合でした。優勝の歓喜に沸くアトレチコの同僚の隣で、ピッチ上に足を投げ出し、携帯電話で家族(多分)と話しながら泣きじゃくるスアレス選手の姿には心揺さぶられました。本当に良かった。バルサの前会長の選手をヒトとも思わない扱いが諸悪の根源でした。自分の命を削りながらより高みを目指している才能をスポーツでも、ビジネスでも、アカデミアでも大切にしなくてはなりません。

現在、地球上の多分300万人以上のゲノム解析データが蓄積されていると推定しています。神様が生んだ人類ゲノムの多様性のデータです。もし、このデータと疾病や健康関連情報が紐づけられれば、私達は治療法のない疾患の治療標的や予防標的を発見できることができると、予言めいたことを唱え続けてきましたが、とうとうその実例が出てきました。2021年2月11日に米国で、そして近く欧州でも販売認可される「Evkeeza」(evinacumab-dgnb)が、集団ゲノム解析から生まれた最初の医薬品であると考えています。今後、続々と集団ゲノム研究から新薬が誕生する可能性があります。さらに、東京大学らと中外製薬が最近発表した免疫プロファイリング技術を組み合わせることで、正常蛋白質の量的な変動によって生じる疾患(全疾患の93%相当、HAP-MAPプロジェクトより)の治療・予防標的の解明も進むと思います。免疫プロファイリング技術については回を改めてお伝えいたします。いずれにせよ、私達の統合オミックス研究が加速することにより、新薬開発がどんどん進む段階に入ったのです。今頃、治療標的が枯渇していると嘆くことは、まったくの時代遅れになりつつあることを知らなくてはなりません。

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