皆さん、お元気ですか?
現在、血友病治療薬「ヘムリブラ」(中外製薬)としてブロック・バスターに成長した2抗原特異抗体ですが、本命の市場は癌治療にあると考えていました。抗体の片方の腕でT細胞を捕まえ、もう片方の腕で癌細胞表面にあるHER2などの癌特異抗体を捕まえる2抗原特異抗体は、癌の周辺にT細胞を集結・活性化して癌の特効薬になると思い込んでいたのです。特に講演などでこうしたポンチ絵を見ると、ますます確信は深まります。しかし、この治験や市場拡大がなかなか進まない。その行く手を阻んでいた壁が、2021年11月19日に国立がん研究センター東病院が主催した「がん新薬開発合同+NEXT医療機器開発シンポジウム」で理解できたので、ここに報告いたします。

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皆さん、お元気ですか?
米Google社の親会社(米Alphabet社)の子会社である英DeepMind社とその関連研究者が次々と蛋白質の立体構造のAI(人工知能)予測の応用範囲を拡大しています。AlfaGOで、碁の天才を打ち負かした同社が開発したAlphaFoldが高精度の蛋白質構造をDNA配列やアミノ酸から予測可能にしたことで、世界をあっと言わせましたが、今回は蛋白質複合体の立体構造予測や蛋白質・蛋白質相互作用(PPI)の予測まで踏み込んできました。今や、標的蛋白質の構造に基づいた創薬にはAIの助けなしには進まぬ状況になりつつあります。またこのAI技術を基にGoogle社は創薬開発の企業を今月創設しました。まだ、AIに関しては未消化のことも多く、雑駁な解説になってしまいますが、今後とも急速にAI化が進む新薬開発の今を何とか皆さんにお伝えしたいと思います。

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皆さん、お元気ですか?
小児希少疾患は儲からないと未だ考えている読者は頭を切り替えなくてはなりません。日本新薬は2021年11月12日に2022年3月期(2021年度)第2四半期決算説明会を開催しました。21年上期の経常利益は222億5000万円、20年上期(112億4800万円)に比較、約倍増したと発表したのです。国産第一号のアンチセンスDNA薬「ビルテプソ」(ビルトラセン)の米国での承認に伴って獲得した小児希少病疾患優先審査バウチャーの他社への譲渡金が経常を押し上げました。少なくとも今年はビルテプソの売り上げ以上の利益を確保しました。希少小児疾患開発を加速するこのインセンティブを我が国の製薬企業やベンチャーは積極的に活用すべきなのです。

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皆さん、お元気ですか?
まずは訂正です。Twitterの読者から本日ご指摘を受け、調べたところ間違いが判明しました。ご指摘に感謝するとともに、謹んで訂正いたします。訂正した記事は明日掲載します。
新Mmの憂鬱、米FDA、iPS細胞由来他家CAR-T細胞の治験中断、染色体異常報告
→この記事では、iPS細胞由来と書きましたが、正常なボランティア由来の他家T細胞でした。しかし、正常な骨髄細胞由来のCAR-T細胞で染色体異常が生じたことは、正常の定義に対する疑問と、それではどこまで異常細胞が骨髄細胞に含まれていないかを確かめれば良いのか?またその術が現在あるのか?など、今後の他家再生医療に対するリスクを明示した結果となりました。

2021年11月12日、小野薬品工業とノーベル賞受賞者である本庶佑京都大学名誉教授と和解したことを発表しました。これによって、もはやウイスキー一本教授に届けて、共同研究の成果を丸取りするといったかつて我が国の企業が、大学の無知と間違ったプライドに付け込んだアンフェアな産学連携が一掃されると考えています。むしろ今回の和解によって大学が金色夜叉化して不当なライセンス料を要求することを恐れます。実際、抗PD-1抗体が癌治療に役立ちそうだというデータを持ち、我が国のほとんどの企業を回った本庶名誉教授の下には小野薬品を除いて、どこの企業からも技術導入に関して色よい返事を得られませんでした。小野薬品も2012年までは誰もが眉唾と思っていた癌免疫療法を、リスクを取って開発、抗PD-1抗体を実用化したことは評価されなくてはなりません。海のものとも山のものとも分からない大学の研究を技術導入する時にはライセンス料は低く契約し、売上高が上がるにしたがってロイヤルティ率を増加させたり、売り上げや利益に応じて、大学に寄付することを契約させたりするなど、今回の和解から大学は学んで産学が気持ちよく利益を分かち合い、大学がその利益を科学の拡大再生産に活用、更にその研究成果から企業が成長する好循環を生むべきだと考えています。

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皆さん、お元気ですか?
今週はバイオで悪いニュースばかりお伝えしなくてはなりません。今年米国で迅速承認(条件付き承認)を受けたアルツハイマー病治療薬、「ADUHELM」(アデュカヌマブ)を投与された患者1例が、MRI画像上でARIA(脳浮腫や脳出血を示すアミロイド関連画像異常)を示した後に死亡しました。以前のメールで抗ADUHELMが商業的に成功するには、条件付き承認後に3つの断崖が待ち構えていると書いたことがありますが、その最も恐れていた副作用の壁に直面したのです。続いて、6か所もARIAが観察された患者の例も報告されており、ただでさえ処方が広がらないADUHELMの行く手が暗くなる情勢です。但し、今週開催されていた2021 Clinical Trials on Alzheimer’s Disease (CTAD) conferenceで、エーザイはBiogen社と共同開発している第二の抗Aβ抗体Lecanemabのフェーズ2治験のデータを発表、良い手ごたえを得ました。これは次のコラムで詳報いたします。

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皆さん、お元気ですか?
まずはお知らせです。11月12日午前12時締切、下記よりお申込みお急ぎ願います。残りの無料視聴枠はもう150人を切りました。11月15日月曜日15時から16時、再生医療の天才、東京医科歯科大学 統合研究機構臓器発生・創生ユニット 教授、横浜市立大学特別教授の武部貴則氏の講演と討議をライブ配信いたします。急進展しているスフェロイドから組織・臓器の再生、そしてあっと驚く臓器の機能転換による再生医療まで、もう武部先生は第三世代の再生医療を考えています!
https://www.jba.or.jp/jba/seminar/se_02/_life.php

iPS細胞由来の再生医療こそ、我が国の独創技術です。米国Allogene Therapeutics社はそのリーディング企業の1社です。同社のホームページをチェックしてびっくりしましたが、他家CAR-T細胞をもう治験で100人以上の患者に投与していました。米国食品医薬品局(FDA)が心配していた癌化に関連する染色体異常を理由に、Allogene社の全てのiPS細胞由来他家CAR-T細胞治験(5本)を中断しました。癌化はiPS細胞実用化のアキレス腱でもあります。今後の自家他家を問わずiPS細胞由来再生医療実用化に大きな衝撃を与えると考えています。

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皆さん、お元気ですか?
まずはお知らせです。恥ずかしながら今年は私がYouTubeデビューした年でした。11月15日月曜日15時から16時、再生医療の天才、東京医科歯科大学 統合研究機構臓器発生・創生ユニット 教授、横浜市立大学特別教授の武部貴則氏の講演と討議をライブ配信(無料)いたします。下記よりどうぞご登録願います(締め切り11月12日12時)。もう武部先生は第三世代の再生医療を考えていました!
https://www.jba.or.jp/jba/seminar/se_02/_life.php

先週日経FT感染症会議の終幕直後にスイスNonvartis社が世界初の第三世代の分子標的薬(アロステリック阻害剤)「Scemblix」(asciminib)の製造販売承認を米国食品医薬品局から獲得したというニュースが入ってきました。2001年に発売された同社の「Gleevec、グリベック」(imatinib mesylate)から始まった低分子チロシンキナーゼ阻害剤は、厳しい副作用に悩まされた抗がん化学療法を過去のものとして葬り、副作用の軽い抗がん剤、分子標的薬の時代を拓きました。現在ではもう数えることも困難ですが、全世界で150種以上の分子標的薬が実用化していると推定しています。しかし、我が世の春を謳歌した分子標的薬にもアキレス腱がありました。それががんの薬剤耐性獲得とオフターゲットを阻害するために生じる副作用です。少なくともScemblixは薬剤耐性がん出現を理論的に抑制できる可能性があり、製薬会社ががんの薬剤耐性変異獲得と治療薬の変更、更には新薬開発とのいたちごっこをもう続ける必要がなくなるかも知れません。やっと持続可能な抗がん剤治療が見えてきたのです。これこそ流行りのSDGsですね。

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皆さん、お元気ですか?
2014年から尾身分科会長を議長に毎年開催してきた日経・FT感染症会議は、新型コロナパンデミックでその真価を発揮しつつあります。2021年10月27日から28日の朝8時から夜7時以降まで、産学官公から感染症対策のキーマンを集め、第5波までの感染症対策を総点検、多分、今年末から来年の1月にかけて襲う感染第6波への備えを広範に議論しました。このメールではバイオが関連する、何故第5波がここまで終息したのか、検査、デジタル・トランスフォーメーション、ワクチンについて報告します。全貌を知りたい方は下記の参考リンクに週末速報版、最終版は11月半ばに東京2021感染症ステートメントとして発表されますので、ご参照願います。

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皆さん、お元気ですか?
パシフィコ横浜で開催されたBioJapan2021の会場から刮目すべきニュースをお届けします。2006年にマウスのiPS細胞が樹立され、我が国でiPS細胞ブームが巻き起こりました。その時、政府は10年でiPS細胞を実用化すべく予算を確保しましたが、私は「20年から25年ぐらい必要だ」と主張した覚えがあります。ヒトのiPS細胞が私の予想よりかなり早く、2007年に樹立されたため私の予想は前倒しになりましたが、最短20年と予測したiPS細胞の実用化がとうとう視野に入って来たのです。先週緊急ニュースで先送りした記事をお届けします。現在、私は東京のホテル・ニューオオタニで開催されている日経FT感染症会議の会場で、モデレーターや現場進行監督などを務めながら、この記事を執筆しています。頭の上では新型コロナパンデミックの制圧に骨を折った産学官公民のキーマンがこれから二日間にわたって熱い議論を戦わせます。この会議の速報は金曜日以降にお伝えいたします。

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皆さん、お元気ですか?
先週パシフィコ横浜で開催されたBioJapan2021の会場から刮目すべきニュースをお届けします。2006年にマウスのiPS細胞が樹立され、我が国でiPS細胞ブームが巻き起こりました。その時、政府は10年でiPS細胞を実用化すべく予算を確保しましたが、私は「20年から25年ぐらい必要だ」と主張した覚えがあります。ヒトのiPS細胞が私の予想よりかなり早く、2007年に樹立されたため私の予想は前倒しになりましたが、その20年目のiPS細胞の実用化がとうとう視野に入って来たのです。と、「新Mmの憂鬱、BioJapan2021、実用化までもう5年、続々と治験入りしたiPS細胞」というタイトルで記事を執筆していたのですが、今、本日のタイトルの緊急ニュースが入ってきましたので、来週の月曜日にiPS細胞の実用化の記事は譲り、日本政府と傘下の研究陣がやっとやるべきことをやった研究成果をお伝えいたしましょう。

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