皆さん、お元気ですか?
昨年の7月からベンチャーキャピタルであるヘルスケア・イノベーション1号ファンドの投資を開始しました。とうとう今年のクリスマスイブに投資先企業11社のうち、1社であるサスメドの上場が決まりました。投資開始から18か月間で1社上場いたしました。現在、東京証券取引所の審査に入っている投資先企業もあり、順調に行けば来年3月にもう1社上場します。ここから先は狸の皮算用ですが、2022年末までにもう1社、そして2023年には3社が上場すると期待しています。お陰様で来年2月までには1号ファンドの全ての出資を完了する予定です。日本には良いバイオ・ベンチャー、ハンズオン支援のやりがいのあるバイオ・ベンチャーは選びさえすれば十分存在しております。誰ですか、日本にバイオ・ベンチャーが育たないなどと根も葉もないことを言い立てていたのは?これからこうした都市伝説を覆していくのが楽しみです。皆さんも是非、ご注目願います。

さて本日は、言葉遊びでは当然存在しえると考えていた制御性B細胞(Breg)が、実際存在して、ブドウ膜炎や多発性硬化症などの自己免疫疾患の細胞治療に応用できそうだ、という見通しが立ってきたのでご報告いたします。皆さんは制御性T細胞(Treg)にはもう親しんでいると思いますが、今後はBregも免疫抑制や自己免疫疾患で考慮しなくてはなりません。何よりも今回の発見が、抗CD20抗体「リツキサン」(リツキシマブ)がB細胞性の白血病だけでなく、関節リウマチや多発血管炎を伴う肉芽腫症および顕微鏡的多発血管炎など自己免疫疾患にも薬効を示すのか、明解に説明してくれました。
◎関連記事
新Mmの憂鬱、Bファーマ・ベンチャーが殺到する癌免疫療法、新たな激戦の火ぶた

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
最近、YouTuberとして露出し始めました。2021年10月1日に富山市で開催された「くすりのシリコンバレーTOYAMA創造コンソーシアム産学官連携シンポジウム2021」の動画が本日公開されました。本日のテーマである第二世代のmRNAワクチンの発表もご覧いただけます。私の登場は残り60分ですので、少し飛ばしてご覧願います。
https://bit.ly/3IivNGU

12月13日月曜日午後3時から1時間、竹山春子先生(内閣府ムーンショット型農林水産研究開発事業「土壌微生物叢アトラスに基づいた環境制御による循環型協生農業プラットフォーム構築」PM)と「ムーンショット型研究開発制度が目指す破壊的イノベーションと循環型協生農業プラットフォーム」に関してLIVE討議いたします。12月10日12:00申し込み締め切りです。下記からご登録願います。
https://www.jba.or.jp/jba/seminar/se_02/post_265.php

さて、本日は新型コロナワクチンの実用化で一躍定着したmRNAワクチンですが、既に第三世代が登場、治験が始まったことを報告します。米Moderna社は1回100μgmRNAの投与量でしたが、副反応を忖度して半量、50μgの治験を行っていました。米Pfizer社・独BioNTech社は30μgでした。しかし、全世界に供給する量を工業生産することは容易ではありません。そしてオミクロン変異の登場です。各社とも100日以内に提供できると宣言していますが、やはり投与量がネックになって、我が国への供給も遅れ、当初は2回接種完了後6か月後に投与が8か月に変わり、そしてもう一度6か月になるという現場に大混乱を招いています。既に、世界中のCMOがmRNAの生産ラインを増強することに殺到していますが、予断を許さない状況です。その量的壁(同時に時間の壁でもあります)を突破する第二世代、加えて更に安全性を考慮した第三世代のmRNAワクチンが我が国で治験入りしました。今回の技術突破はmRNA医薬はワクチン以外にもすそ野を急速に広げる可能性があるのです。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
とうとう師走になってしまいました。バタバタしているうちに今年も残り1か月、焦りが募るばかりです。加えて新型コロナの変異型であるオミクロン株の出現で、株式市場やマスメディアは大騒ぎとなっています。しかし、もっとも情報が早く、選択できれば正確であるSNS上では意外にも冷静さを取り戻していました。本日はオミクロン株の現在までの最新情報を3つの疑問にまとめてみました。ひょっとしたら新型コロナの感染を終息させる変異型かも知れません。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
現在、血友病治療薬「ヘムリブラ」(中外製薬)としてブロック・バスターに成長した2抗原特異抗体ですが、本命の市場は癌治療にあると考えていました。抗体の片方の腕でT細胞を捕まえ、もう片方の腕で癌細胞表面にあるHER2などの癌特異抗体を捕まえる2抗原特異抗体は、癌の周辺にT細胞を集結・活性化して癌の特効薬になると思い込んでいたのです。特に講演などでこうしたポンチ絵を見ると、ますます確信は深まります。しかし、この治験や市場拡大がなかなか進まない。その行く手を阻んでいた壁が、2021年11月19日に国立がん研究センター東病院が主催した「がん新薬開発合同+NEXT医療機器開発シンポジウム」で理解できたので、ここに報告いたします。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
米Google社の親会社(米Alphabet社)の子会社である英DeepMind社とその関連研究者が次々と蛋白質の立体構造のAI(人工知能)予測の応用範囲を拡大しています。AlfaGOで、碁の天才を打ち負かした同社が開発したAlphaFoldが高精度の蛋白質構造をDNA配列やアミノ酸から予測可能にしたことで、世界をあっと言わせましたが、今回は蛋白質複合体の立体構造予測や蛋白質・蛋白質相互作用(PPI)の予測まで踏み込んできました。今や、標的蛋白質の構造に基づいた創薬にはAIの助けなしには進まぬ状況になりつつあります。またこのAI技術を基にGoogle社は創薬開発の企業を今月創設しました。まだ、AIに関しては未消化のことも多く、雑駁な解説になってしまいますが、今後とも急速にAI化が進む新薬開発の今を何とか皆さんにお伝えしたいと思います。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
小児希少疾患は儲からないと未だ考えている読者は頭を切り替えなくてはなりません。日本新薬は2021年11月12日に2022年3月期(2021年度)第2四半期決算説明会を開催しました。21年上期の経常利益は222億5000万円、20年上期(112億4800万円)に比較、約倍増したと発表したのです。国産第一号のアンチセンスDNA薬「ビルテプソ」(ビルトラセン)の米国での承認に伴って獲得した小児希少病疾患優先審査バウチャーの他社への譲渡金が経常を押し上げました。少なくとも今年はビルテプソの売り上げ以上の利益を確保しました。希少小児疾患開発を加速するこのインセンティブを我が国の製薬企業やベンチャーは積極的に活用すべきなのです。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
まずは訂正です。Twitterの読者から本日ご指摘を受け、調べたところ間違いが判明しました。ご指摘に感謝するとともに、謹んで訂正いたします。訂正した記事は明日掲載します。
新Mmの憂鬱、米FDA、iPS細胞由来他家CAR-T細胞の治験中断、染色体異常報告
→この記事では、iPS細胞由来と書きましたが、正常なボランティア由来の他家T細胞でした。しかし、正常な骨髄細胞由来のCAR-T細胞で染色体異常が生じたことは、正常の定義に対する疑問と、それではどこまで異常細胞が骨髄細胞に含まれていないかを確かめれば良いのか?またその術が現在あるのか?など、今後の他家再生医療に対するリスクを明示した結果となりました。

2021年11月12日、小野薬品工業とノーベル賞受賞者である本庶佑京都大学名誉教授と和解したことを発表しました。これによって、もはやウイスキー一本教授に届けて、共同研究の成果を丸取りするといったかつて我が国の企業が、大学の無知と間違ったプライドに付け込んだアンフェアな産学連携が一掃されると考えています。むしろ今回の和解によって大学が金色夜叉化して不当なライセンス料を要求することを恐れます。実際、抗PD-1抗体が癌治療に役立ちそうだというデータを持ち、我が国のほとんどの企業を回った本庶名誉教授の下には小野薬品を除いて、どこの企業からも技術導入に関して色よい返事を得られませんでした。小野薬品も2012年までは誰もが眉唾と思っていた癌免疫療法を、リスクを取って開発、抗PD-1抗体を実用化したことは評価されなくてはなりません。海のものとも山のものとも分からない大学の研究を技術導入する時にはライセンス料は低く契約し、売上高が上がるにしたがってロイヤルティ率を増加させたり、売り上げや利益に応じて、大学に寄付することを契約させたりするなど、今回の和解から大学は学んで産学が気持ちよく利益を分かち合い、大学がその利益を科学の拡大再生産に活用、更にその研究成果から企業が成長する好循環を生むべきだと考えています。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
今週はバイオで悪いニュースばかりお伝えしなくてはなりません。今年米国で迅速承認(条件付き承認)を受けたアルツハイマー病治療薬、「ADUHELM」(アデュカヌマブ)を投与された患者1例が、MRI画像上でARIA(脳浮腫や脳出血を示すアミロイド関連画像異常)を示した後に死亡しました。以前のメールで抗ADUHELMが商業的に成功するには、条件付き承認後に3つの断崖が待ち構えていると書いたことがありますが、その最も恐れていた副作用の壁に直面したのです。続いて、6か所もARIAが観察された患者の例も報告されており、ただでさえ処方が広がらないADUHELMの行く手が暗くなる情勢です。但し、今週開催されていた2021 Clinical Trials on Alzheimer’s Disease (CTAD) conferenceで、エーザイはBiogen社と共同開発している第二の抗Aβ抗体Lecanemabのフェーズ2治験のデータを発表、良い手ごたえを得ました。これは次のコラムで詳報いたします。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
まずはお知らせです。11月12日午前12時締切、下記よりお申込みお急ぎ願います。残りの無料視聴枠はもう150人を切りました。11月15日月曜日15時から16時、再生医療の天才、東京医科歯科大学 統合研究機構臓器発生・創生ユニット 教授、横浜市立大学特別教授の武部貴則氏の講演と討議をライブ配信いたします。急進展しているスフェロイドから組織・臓器の再生、そしてあっと驚く臓器の機能転換による再生医療まで、もう武部先生は第三世代の再生医療を考えています!
https://www.jba.or.jp/jba/seminar/se_02/_life.php

iPS細胞由来の再生医療こそ、我が国の独創技術です。米国Allogene Therapeutics社はそのリーディング企業の1社です。同社のホームページをチェックしてびっくりしましたが、他家CAR-T細胞をもう治験で100人以上の患者に投与していました。米国食品医薬品局(FDA)が心配していた癌化に関連する染色体異常を理由に、Allogene社の全てのiPS細胞由来他家CAR-T細胞治験(5本)を中断しました。癌化はiPS細胞実用化のアキレス腱でもあります。今後の自家他家を問わずiPS細胞由来再生医療実用化に大きな衝撃を与えると考えています。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
まずはお知らせです。恥ずかしながら今年は私がYouTubeデビューした年でした。11月15日月曜日15時から16時、再生医療の天才、東京医科歯科大学 統合研究機構臓器発生・創生ユニット 教授、横浜市立大学特別教授の武部貴則氏の講演と討議をライブ配信(無料)いたします。下記よりどうぞご登録願います(締め切り11月12日12時)。もう武部先生は第三世代の再生医療を考えていました!
https://www.jba.or.jp/jba/seminar/se_02/_life.php

先週日経FT感染症会議の終幕直後にスイスNonvartis社が世界初の第三世代の分子標的薬(アロステリック阻害剤)「Scemblix」(asciminib)の製造販売承認を米国食品医薬品局から獲得したというニュースが入ってきました。2001年に発売された同社の「Gleevec、グリベック」(imatinib mesylate)から始まった低分子チロシンキナーゼ阻害剤は、厳しい副作用に悩まされた抗がん化学療法を過去のものとして葬り、副作用の軽い抗がん剤、分子標的薬の時代を拓きました。現在ではもう数えることも困難ですが、全世界で150種以上の分子標的薬が実用化していると推定しています。しかし、我が世の春を謳歌した分子標的薬にもアキレス腱がありました。それががんの薬剤耐性獲得とオフターゲットを阻害するために生じる副作用です。少なくともScemblixは薬剤耐性がん出現を理論的に抑制できる可能性があり、製薬会社ががんの薬剤耐性変異獲得と治療薬の変更、更には新薬開発とのいたちごっこをもう続ける必要がなくなるかも知れません。やっと持続可能な抗がん剤治療が見えてきたのです。これこそ流行りのSDGsですね。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから