皆さん、お元気ですか?
まずは読者からご指摘を受け、前回の2021年9月17日号を慎んで再度訂正させていたきました。本文中で「ゾルゲンスマ」をAAV2型と記述しましたが、AAV9型の誤りでした。遺伝子コンストラクト中でAAV2型のゲノム配列を一部使用しているため誤認いたしました。是非、認識を改めていただくために、下記のリンクにアクセス願います。またご指摘に感謝しております。これに懲りずにどうぞよろしく願います。
https://miyata-bio.net/column/0000093/

さて、リキッド・バイオプシーで技術突破が起こりました。

最大の問題であった血中を漂う癌由来のDNA(ctDNA)がどの臓器由来なのか、従来のリキッド・バイオプシーではわからず、ただ、癌関連遺伝子上にドライバー変異があるとしか診断できなかった欠陥が解決されたのです。これによって癌の早期スクリーニングは圧倒的に変化する可能性があります。抗体診断による血中癌抗原の検出では、陽性と判明してもほぼ手遅れという限界が打破されるのです。間違いなく、人間ドックの癌診断サービスはリキッド・バイオプシーによる次世代の癌ゲノム・プロファイル検査に置き換わると考えています。

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皆さん、お元気ですか?
まずは読者からご指摘を受け、前回の2021年9月17日号を慎んで訂正させていたきました。本文中で「ゾルゲンスマ」を髄腔内投与と誤認しておりました。点滴静脈注射製剤であり、文章の一部を訂正させていただきました。是非、認識を改めていただくために、下記のリンクにアクセス願います。またご指摘に感謝しております。これに懲りずにどうぞよろしく願います。
https://miyata-bio.net/column/0000093/

さて、とうとうC型肝炎がヒトの細胞に感染する受容体とリガンドが明らかになりました。これで、今まで商品化できなかったC型肝炎ワクチン開発に拍車がかかります。「ハーボニー」など直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral:DAA)の登場で、C型肝炎の問題は終わったと認識している読者も多いでしょう。確かに、現在、DAAによるC型肝炎ウイルスの持続的除去が可能となったのですが、ウイルス除去後の患者でも肝癌の発症が起こり、残念ながらまだ解決はしていないのです。ワクチンの開発は、肝癌発症の息の根を止めるためにも絶対必要なことを認識していただきたいと願っています。C型肝炎は決して終わった病気ではないのです。

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皆さん、お元気ですか?
まずはお知らせです。バイオ目利き人材プログラムBIGの第四期の募集要項を発表いたします。今期の第三期はご好評につき定員に達しております。第四期は2022年7月8日から開始いたします。是非とも来年度の予算で受講費用の確保をご検討願います。料金は企業の規模や機能によって異なります。下記をご参照の上、お申込み願います。限定55社、先着順で選定いたします。
大企業:https://miyata-inst.jp/big4/
VC・金融:https://miyata-inst.jp/big4-vc/
ベンチャー企業(未上場、創業10年未満):https://miyata-inst.jp/big4-vb/

遺伝子治療の実用化はまさに山あり谷あり。副作用による発がんなどの結果、レトロウイルス・ベクターからレンチウイルス・ベクター、そしてアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターへと、遺伝子導入技術の安全性が洗練されてきました。2019年5月米国で、そして2020年5月日本で、スイスNovartis社が「ゾルゲンスマ」(オナセムノゲン アベパルボベック、Onasemnogene abeparvovec)を発売、1回の治療で212.5万ドルから1億6708万円という高薬価も加わり、遺伝子治療製剤初のブロック・バスター製品となりました。ここで遺伝子治療の時代がやってきたと早計にも判断したことを反省しております。今やAAVでも克服しなければならない課題が浮き彫りになってきました。本格的実用化までにはもう一山、安全性の確保という問題を解決しなくてはなりません。

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皆さん、お元気ですか?

2年前の6月、我が国の癌ゲノム医療が本格的に離陸しました。「OncoGuide NCCオンコパネル システム」(シスメックス)と「FoundationOne CDx」(中外製薬)の2種類の癌遺伝子パネル検査が保険収載(技術料56万円)され、我が国の癌患者さんの癌組織に存在する遺伝子の変異プロファイルに応じて、最適な抗がん剤などの処方が選択できる時代となったと喧伝(私も)しました。ではこれだけ国民の期待を高めた我が国の癌ゲノム医療の成績はどうだったのか?2年後のデータを確認すると、期待とは大きく外れた姿が見えてきたのです。我が国が先端医療の技術革新を咀嚼し、国民の幸福につなげるためのインフラの欠陥が露わになったのです。また、ため息です。

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皆さん、お元気ですか?
ヒト・ゲノム研究は2003年に終わったのでは?と思っている読者も多いとは思いますが、米国政府は実に粘り強く、ヒト・ゲノム研究を医療の革新に繋げるために多様なプログラムをまだまだ立ち上げています。ヒト・ゲノムのDNA配列を解読したのが、2003年だと考えると、これはヒトの生命の分子的なメカニズムを解読するための“ロゼッタ・ストーン”を手に入れる前段階に過ぎません。単に30億塩基のDNDの配列、しかもたった3人のゲノム配列を記述できたからといって、その意味はほとんど解釈しえなかったのです。つまり、ほとんど医療には役に立たなかったのです。ヒト・ゲノム解析の成果を医療に活用するために、米国政府はトランスクリプトームやプロテオーム、ヌクレオ―ムなどマルチオミックス解析と組み合わせ、ようやっとヒト・ゲノムの謎を解くデータ・ベース、つまりヒト・ゲノムのロゼッタ・ストーンを、100万人から1000万人規模の集団ゲノム解析と経時列の個人ごとの健康データを除き、ほぼ構築し終えたのです。そして満を持して2021年9月、米国国立衛生研究所ヒト・ゲノム研究所が立ち上げを発表したのが、ゲノム変異が生命機能に与える影響解析(Impact of Genomic Variation on Function:IGVF) コンソーシアムだったのです。ヒト・ゲノム研究をもう一歩、革新的な医療、そして人類の幸福に近づける試みです。

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皆さん、お元気ですか?
全米オープンもベストフォーが出そろうタイミングとなって参りました。私の贔屓だったシフィオンテク選手(ポーランド)が本当に絶好調のベンチッチ選手(スイス)に僅差で敗れてしまいましたが、新たに若干19歳のカナダのレイラ・フェルナンデス選手に目移りをしております。大会中に誕生日を迎えた新鋭です。小柄ですが賢く,しかも精神が頑強で、大坂なおみ選手にマッチポイントを握られながら競り勝ち、大坂選手のメンタルに打撃を与えたほどです。連戦でどこまで身体が持つかが唯一の心配ですが、今年も女子シングルスは神聖誕生となるのではないかと楽しみにしています。

明日の講演の準備で癌免疫療法の調査をして、びっくりしました。治療対象の癌種拡大、さらにサードライン(3次治療)→ファーストライン(1次治療)への適応拡大競争がほぼ終結、いよいよ併用療法の真価が問われる第二段階の激戦の火ぶたが切られていたのです。新たな参入者と新たな治療標的が入り乱れる乱戦を今回は解説して見たいと思います。癌免疫療法のOS(全生存率)20~30%を打破する競争が始まったのです。この戦いの果てには、進化の宿痾である癌の制圧が見えてくると期待しています。

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皆さん、お元気ですか?
大谷翔平選手のホーム・スチールには恐れ入りました。彼はまさに超人です。
全米オープン・テニスは2回戦まで進みました。苦戦しましたが錦織選手はフルセットの末、勝利をつかみ取り、3回戦に進みました。次ぎの相手は、ジョコビッチ選手です。怪我のため、ランキングが50位以下になってしまった錦織選手の苦労は続きますが、ジョコビッチ選手を万一にも破ることがあれば、後は楽になります。何とか、希望をつないで欲しいと思います。サッカーのワールドカップ予選は触れるのも嫌になるほど。次回の日本代表の奮起を期待せざるを得ません。

この記事を書いている最中に菅総理が総裁選出馬を断念した記者会見を開きました。新型コロナ対策に集中するためという美しい理由でした。民主主義の良さが出た光景でした。人事を刷新することこそ、最良の新型コロナ対策であると得心しました。この騒動で自由民主党がベテラン支配の頸木から少しでも離れることができることを祈念しております。さて、今回のメールでは、本日午後2時半からデジタル・セラピューティクス(DTx)の我が国のパイオニアであるCureAppが発表したばかりの高血圧治療用DTxのフェーズ3治験(HERB-DH1試験)の結果を報道したいと思います。同社は我が国で高血圧治療用アプリとして製造承認申請を既に完了していました。順調にいけば、23年にも発売され、世界初の高血圧治療用アプリとなる見込みです。生活習慣病はその名のとおり、DTxによって生活習慣を改めることによって治療する時代となったのです。ブロック・バスターは生活習慣病薬という幻想を捨てなくてはなりません。(*:CureAppは私が運営しているヘルスケア・イノベーション1号ファンドで投資しております。ちょっと惚れ込み過ぎかも知れませんので、冷静にご評価願います)

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皆さん、お元気ですか?
リーガエスパニョーラ第三節、アトレチコ・マドリードはビジャレアルに追い詰められていました。終了15秒までは。交代して入ったサウール選手のロングボールは味方選手から大きくはずれ、楽々とディフェンスのマンディ選手がヘディングでキーパーにバック・パスして攻撃も一巻の終わりかと思えたのですが、ボールの行く先にはキーパーはおらず、慌てて戻ったキーパーの手をはじき、ボールが点々とゴールに流れ込みました。2:2の同点です。勝利を確信していたビジャレアルの中盤からフォワードの選手のほとんどがピッチに突っ伏したのを見て、彼らのショックの大きさを知りました。アトレチコのファンである私は、何回もビデオを再生して、この空前絶後のゴールを楽しんでいます。皆さん、一見の価値ありです。

とうとう9月を迎えてしまいました。東京は冷え込み秋を体感しております。今年の夏は短かったのかも知れません。どうも気勢が上がらない9月の始まりとなってしまいましたが、本当にがっくりするニュースが飛び込んでまいりました。第四世代のゲノム解析シーケンサの開発で世界と競争できると期待されていた大阪大学発のベンチャー企業、クオンタムバイオシステムズ(QB)が、2021年8月27日に解散してしまったのです。今やバイオ産業や生命科学の基盤となるDNA/RNAシーケンス技術で国産技術開発の希望が閉ざされてしまったのです。しかも、新型コロナの変異型出現などで、社会の盾としてもDNA/RNAシーケンス技術が必要な今に倒産してしまったのです。今後、我が国の企業は特許切れを狙い第三世代(次世代シーケンスとも巷では呼ばれています)のシーケンス装置の廉価版を作る矮小化されたビジネスを目指さなくてはならないのでしょうか?ため息ばかりです。日本の大学の工学研究はおもちゃしか作れないのか?

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皆さん、お元気ですか?
東京パラリンピックが始まりました。身体の不具合を補う装具の革命的な発達によって、ものすごい記録が打ち立てれています。特に注目しているのは陸上の走り幅跳びであり、パラリンピック記録のほうが、オリンピック記録を上回ることを期待しています。まだまだ先でしょうが、理想的な姿はオリンピックとパラリンピックの垣根を取り払うことです。新素材や加工技術など様々なイノベーションがそれを可能にするでしょう。ただ、悩ましいのは電子制御によるサイボーグ化をどこまで許容するのか、その是非と線引きに逡巡せざるを得ないことです。

とうとう新型コロナ抗体医薬の国産化に乗り出す企業が現れました。札幌市のベンチャー企業イーベックです。同社は回復者の血液から独自の抗体クローン化技術によって、高機能の抗体医薬の開発に成功しました。1種類の抗体でデルタ変異株など幅広い変異株を中和することができます。現在、国内の病院や医療機関と連携し、回復者や医療従事者から同意を得て血液を収集、迅速に抗体医薬を開発するシステムも構築しました。今後、新型コロナがどんなに変異しても、また流行終息後に新たな感染の脅威が生じても、抗体医薬を迅速・適格に開発できる日本の免疫の盾を創り上げたのです。
前回のメールで報じた発症予防と軽症者の治療を可能とする経口治療薬とワクチンの開発を合わせて、新型コロナを退治する三本の国産の矢が姿をやっと現しました。しかし現在、新型コロナ関連資材のバリューチェーンは逼迫しており、我が国の国民を護るためには、原料や生産資材の国産化と確保も不可避となっています。経産省と厚労省の連携と奮闘も必要なのです。

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皆さん、お元気ですか?
新宿御苑がリモート勤務の運動不足を補う散歩コースです。昨日もリモート会議をいくつかこなし、家を飛び出して御苑に向かいました。薄曇りの天気で暑く湿っており、なかなか苦しい散歩となりました。いつもはがらんとしている庭園に、人だかりが見えます。しかも全員何故か空を見上げています。もう分かった読者もいると思いますが、パラリンピックの開会を祝するブルーインパルスの飛行を観戦しようとしているのです。確かに、緑の芝生の真ん中なら空は大きく開けています。人込みを避けながら、よいシャッター・チャンスを探り、やっと記録した映像をTwitterに載せております。自信作ですので、是非ともご一覧願います。できればフォローもしていただければ望外の喜びです。

日本橋室町にある新オフィスの周辺の店や入居しているビルでも、新型コロナの患者が続々と発生、休店に追い込まれる事態となってきました。感染力が増悪した新型コロナ・ガンマ株が猛威を振るっているのです。政府ややっとワクチン接種の一本足打法から、新型コロナ抗体カクテルの投与や、入院までの中間施設として酸素吸入センター設置などにも力を入れてきました。2021年8月23日、とうとう東京都と厚労省は改正感染症法に基き、都内の全医療機関に新型コロナウイルス患者の受け入れと医療従事者の派遣を要請する事態になりました。重症化を防ぎ、医療崩壊を抑止するためには、軽症者と中等症者に対する重症化抑制に効果がある新薬がどうしても必要です。抗体カクテルはそのために重要な薬剤ですが、点滴静注であるため医療機関での投与が必要です。しかも我が国政府はスイスRoche社から21年度分として7万回分を確保していますが、2021年8月18日現在の自宅療養者数は9万6000人に達しており、供給不足は火を見るよりも明らかで、しかも抗体製剤はどうしても高額になります。抗体製剤の国産化に加えて、より軽症の段階で手軽に発症を抑制する経口抗新型コロナ薬の開発が必要なのです。困った患者が居るのならそれを救う薬を、世界初のAIDS治療薬AZTに始まり今まで6つも世に送り出してきた国立国際医療研究センター研究所の満屋裕明所が予想通り動いていました。新しい創薬標的である新型コロナウイルスのメイン・プロテアーゼ(3CLプロテアーゼ)の阻害剤を開発していたのです。

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