皆さん、お元気ですか?
2022年1月20日、新年早々、ブリストル・マイヤーズ・スクイブが我が国の厚生労働省からCAR-T細胞「アベクマ」(idecabtagene vicleucel)の製造販売認可を獲得しました。年内に四番目のCAR-T細胞が我が国の病院で処方されることになります。CAR-T細胞はリアル・ワールド・データでもB細胞性白血病の奏効率を増加、OS(全生存期間)延長、そして投与早期にCR(完全寛解)に達した患者に長期効果、つまり完治を期待できる可能性があることも示されるようになってきました。手術、放射線療法、抗がん剤・分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤、そして第五の癌の治療手技としてCAR-T細胞やTCR-T細胞など癌免疫細胞治療が着実に定着しつつあります。しかし、今まではCD19抗原を細胞表面に持つB細胞性白血病のみに薬効が限定されておりました。こうした第一世代のCAR-T細胞の限界を打破したのがアベクマです。アベクマが結合するのはB細胞成熟抗原(BCMA)であり、初めてCAR-T細胞として多発性骨髄腫を治療することができる製剤となりました。しかし、こうした標的抗原の拡大は次世代のCAR-T細胞療法の出現の第一歩に過ぎません。昨年の後半から今年に入り急速に開発が進みつつある次世代CAR-T細胞開発の最先端をお伝えいたします。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
米国国立がん研究所(NCI)のSteven Rosenberg外科部門長の癌の細胞療法が執念を実らせつつあります。40年前のLAK(リンホカイン活性化キラー細胞)療法から始まり、10年前の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法まで、一貫して患者のリンパ球を活性化して癌を克服しようという試みを続けてきました。この10年で確かに、ネオ抗原が多数存在する悪性黒色腫では体外で培養増殖したTILを再移植する養子免疫療法の奏効率が50%程度まで向上してきましたが、他の癌腫では今まではかばかしい治療成績は発表されていませんでした。その壁をどうやら今週発表された論文で、Rosenberg博士が突破したようです。博士の執念ががん免疫療法の効果が薄いER陽性乳がんの治療にTILを活かすことに成功したのです。固形がんの治療で足踏み状態にあるCAR-T細胞の開発にも重要なヒントを与えると考えています。今日はその論文を速報します。執筆が夜遅くなってしまいましたが、ご容赦願います。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
昨日から本日までLINK-Jで再生医療のイベントが盛りだくさんに行われていました。昨日の再生医療産業化フォーラム2022ではパネルディスカッションのモデレータを務めました。遺伝子操作やゲノム編集、そして他家細胞など次世代の再生医療技術の急速な勃興を議論しましたが、ゲノム編集細胞など新しいモダリティに対してCDMO(受託開発製造機関)が対応できるのか?が焦点となり、アカデミアなどの発注側とタカラバイオやJ-TECなどの受注側が意見を戦わせ、大いに盛り上がりました。ただ一つ言えることは、新型コロナ・パンデミックで露呈しましたが、日本にはFIC(ファースト・イン・クラス)の細胞を受託製造できるCDMOの基盤(設備と人材)が徹底的に不足しているということです。R3年の補正予算で経産省は2300億円の新型コロナ・バイオ医薬製造基盤補助金を確保し、尚且つ平時には商業生産に転用を許すデュアル・ユースを認めました。しかし、尚、これだけでは不足です。人材育成も含めて、革新的な再生医療やバイオ医薬を我が国のアカデミアやベンチャーが開発したら、治験や医師主導治験でPOCを迅速に取ることを可能とするCDMOの基盤形成にもっと資金を投入しなくてはなりません。

こう考えながら、タカラバイオの峰野純一取締役のプレゼンを聞いていたら、モダリティ毎の治験成功確率の図を紹介しており、抗体医薬が一番だろうという思いを裏切り、CAR-T細胞が成功確率トップに君臨していたのです。本日はこの驚きを紹介したいと思います。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
まずは御勧めです。来週月曜日(1月31日)午後3時から1時間、宮田満のバイオ・アメイジング(JBA主催)、緊急対談:バイオのあの話題はこれからどうなる?!「ゲノム編集トマト「シシリアンルージュハイギャバ」を食卓へ!」をライブでお届けいたします。何故、組み換えトマトが日本の消費者に受け入れられず、ゲノム編集トマトは成功したのか?その謎を解き明かします。仕掛け人であるサナテックシードの竹下社長の天才的なマーケティング力には感嘆しますよ。是非下記よりご登録願います(視聴無料)。もう少しで満席です。
申し込みリンク(締め切り1月28日金曜日12:00)
https://www.jba.or.jp/jba/seminar/se_02/post_271.php

さて、バイオの最先端の取材をしているとアンチエージングや抗老化、あるいは若返りまで、研究が及びつつあることに驚かされます。先進国と中国が今や直面している超高齢化社会の大問題の解決に研究者達が挑戦しているのです。先週、米国で大きな動きがありました。とうとう若返り薬開発のベンチャーが30億ドルもの膨大な資金と才能を集め稼働したのです。何と科学アドバイザーには京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授まで参加しているではないですか?

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、お元気ですか?
現在、AI創薬の取材を進めていますが、その取材の最中にスタージェン鎌谷直之会長がポロっと漏らした言葉から出たスクープをご報告いたします。既に、2011年に帝人が発売し、ブロック・バスターに成長、同社の利益を下支えした痛風・抗尿酸血症治療薬「フェブリク」の開発に、実は人類のゲノム研究の成果が使われていたという事実です。2022年のバイオの新潮流で、人類ゲノム研究からの創薬が新しい潮流だと見栄を張りましたが、10年前に極めて類似した概念で医薬品が誕生したことを知り愕然としております。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

あっと言う間に新年から20日も経ってしまいました。明日は大寒。オミクロン株の浸透で、東京都はとうとう検査陽性者7000人を超えてしまいました。New York市や南ア、英国などのデータではオミクロン株は感染力が強く、1か月程度で急激に患者が増加、そして急減して終息する傾向があります。事実上、集団免疫が成立したためかも知れません。いつの間にか、TVなどでは感染者数ではなく、検査陽性者数と呼び変え、実際の感染状況を必ずしも表していないというアリバイを築きつつあります。皮肉なことにマスク着用や三密を避けるなど整然と感染防御行動を行っている日本はかえって、だらだらと感染が猖獗する可能性もあるのです。流行しているウイルスの性質×個人ごと、地域ごとのリスクベースの感染対策こそが、国民の健康と経済の両方を護る方策であると考えています。
さて、下記のリンクに示した年頭の連載を是非ご一読下さい。今年のバイオの方向を、命を削って絞り出したものです。
2022年バイオの新潮流22
→→新Mmの憂鬱、これを知らなきゃ明日はない、バイオの最新潮流2022(1、完結)
→→新Mmの憂鬱、これを知らなきゃ明日はない、バイオの最新潮流2022(2、完結)
→→新Mmの憂鬱、これを知らなきゃ明日はない、バイオの最新潮流2022(3、完結)

今号では昨年、中分子創薬の第一号の治験に入った中外製薬の中分子創薬の謎を解読します。最近、ヘルスケアイノベーションに加入したFさんが中外製薬の中分子関連特許を読み解いたエッセンスをお伝えします。中分子創薬の旗手、ペプチドリームのライブラリーは10の13乗ですが、中外製薬は10の12乗、この差を徹底的に究明いたします。「僕に黙って20年も研究していた」(永山治中外製薬名誉会長)という、中分子創薬プロジェクト(アポロ計画)の秘密はこれでした。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

新年早々、大汗を掻き、頭をかきむしって、2021年のバイオ動向をまとめ、今年のバイオの最新潮流を見通す作業もこのメールで完結いたします。バイオの広範な技術突破と欧米日中のバイオベンチャーの意欲的な挑戦によって、更には1990年代半ばから始まったインターネットの普及による知識交換の飛躍的なスピード向上によって、バイオ・イノベーションの勢いは加速、更に大きな奔流となって医療や創薬産業を揺さぶっております。それでも今回まとめたのはレッド・バイオのみです。経団連の十倉会長が2022年1月12日のバイオ関連団体合同セミナーで指摘した「ゴレンジャー」、つまりレッドにホワイトバイオ、ブルーバイオ、グリーンバイオ、グレーバイオを加えた技術突破まではまとめきれませんでした。しかし、世界は持続可能な経済発展という矛盾をはらんだ課題に今年は大胆に更に踏み込もうとしています。今回の記事に加えて、是非残りのヨンレンジャーにも今年は是非とも目配り願います。きっと近い将来合成生物学が創薬産業にも活用時代が来ると確信しています。今回の3回にわたる連載では以下の22のバイオ最新潮流を解説いたしました。可能な限り、連載を完読していただくようお願いいたします。

今年もワクワクするような変化に満ちた年になることは間違いありません。新Mmの憂鬱でその最新情報を皆さんと共有することを楽しみにしております。どうぞ今年もご愛読願います。

2022年バイオの新潮流22
●新型コロナが変えたバイオ研究開発
新Mmの憂鬱、これを知らなきゃ明日はない、バイオの最新潮流2022(1)

●ADHELM騒動とその後
●新たな創薬資源、集団ゲノム解析から新薬誕生
●PPIの実用化が一段と進む、KRAS阻害剤発売
●薬剤耐性の輪廻から離脱か?アロステリック阻害剤誕生
●中分子医薬の曙
●ADC(抗体薬剤複合体)の実用化ラッシュ
●次世代抗体の進化
●AAV遺伝子治療の停滞とそれを打破する試み
●たった一人の患者のための創薬始まる
新Mmの憂鬱、これを知らなきゃ明日はない、バイオの最新潮流2022(2)

●DTxの離陸とDXの製薬業への浸透
●モダリティや創薬標的としてmRNAに脚光
●次世代の癌免疫療法の勃興
●固形癌細胞療法に技術突破と血液癌で次世代のCAR-T細胞出現
●他家再生医療の実用化
●肥満治療薬の開花
●AI創薬に雪崩を打って参入
●in vivoゲノム編集治療でPOC
●富士フイルムの創薬事業からの撤退
●バイオベンチャー上場ブーム
●生命現象の場としての液液相分離に注目
●大学ファンド10兆円だけはない。生命科学研究費源の多様化が始まる

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

今朝ほど、京都大学本庶名誉教授、経団連の十倉会長、バイオインダストリー協会の中山理事長の新春鼎談の司会を終えたところです。読者の中にはライブでご覧になった方もいらっしゃるのではないかと思います。多士済々の議論はとても面白くためになりましたが、十倉会長から「バイオはゴレンジャー」という発言には思わず吹き出してしまいました。レッドバイオ(医薬)、ホワイトバイオ(化学・エネルギー)、ブルーバイオ(海洋)、グレーバイオ(環境)、グリーンバイオ(農業)と確かにバイオテクノロジーの応用は急拡大していました。10年前のホワイトバイオ・ブームは原油価格の下落によって鎮静化してしまいましたが、21世紀の今は国民の考えたたが変わり、持続可能性や環境保全に大きな価値を置くようになりました。加えて、ゲノム解析やゲノム編集技術、そして情報処理・AI技術の浸透によって、合成生物学も現実の工業生産に投入されるようになったのです。今や原油価格に左右されないゴレンジャー・バイオが成立できる条件が整ったと考えるべきなのです。レッドバイオの事業化に偏った我が国のバイオも2022年をきっかけに、欧米のようにバランスのよいバイオの発展の形に変わっていくと確信しました。「全産業にバイオを!」。今年の良きスローガンです。
さて、新春企画の第二弾をお届けします。頭をかきむしってこの1年のバイオの発展を振り返り、2022年のバイオを展望しようと願っています。今年は以下のバイオ新潮流22を指摘したいと思います。項目数が多いので、前号から3号に渡って解説いたします。どうぞお付き合い願います。

2022年バイオの新潮流22
●新型コロナが変えたバイオ研究開発
→新Mmの憂鬱、これを知らなきゃ明日はない、バイオの最新潮流2022(1)
https://miyata-bio.net/column/0000121/
●ADHELM騒動とその後
●新たな創薬資源、集団ゲノム解析から新薬誕生
●PPIの実用化が一段と進む、KRAS阻害剤発売
●薬剤耐性の輪廻から離脱か?アロステリック阻害剤誕生
●中分子医薬の曙
●ADC(抗体薬剤複合体)の実用化ラッシュ
●次世代抗体の進化
●AAV遺伝子治療の停滞とそれを打破する試み
●たった一人の患者のための創薬始まる
→今号はここまでを論じます。
●DTxの離陸とDXの製薬業への浸透
●モダリティや創薬標的としてmRNAに脚光
●次世代の癌免疫療法の勃興
●固形癌細胞療法に技術突破と血液癌で次世代のCAR-T細胞出現
●他家再生医療の実用化
●肥満治療薬の開花
●AI創薬に雪崩を打って参入
●in vivoゲノム編集治療でPOC
●富士フイルムの創薬事業からの撤退
●バイオベンチャー上場ブーム
●生命現象の場としての液液相分離に注目
●大学ファンド10兆円だけはない。生命科学研究費源の多様化が始まる
→2022年1月17日号に掲載予定

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

2021年1月5日、東京都の新型コロナウイルスの実効再生産数は2.2を上回った。前日より0.4の増加である。急速にデルタ株からオミクロン株へと変異株の交代が進み、まさに感染第6波は空前絶後のスピードで日本を襲いつつある。2021年を振り返り、2022年のバイオを占うためにも、新型コロナパンデミックによる変化をまずは見逃すことができない。まずは新型コロナが一体何を変え、なにを変えつつあるのか?解析することから、いささか皆さんへきへきとしていると思いますが、今年のバイオの展望の口火を切ります。

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから

皆さん、メリー・クリスマス。
クリスマス・イブがクリスマス・イブニングの意味だということを67歳にして知りました。イブは前夜祭だと思っていたのですが、クリスマスが誕生した頃は1日の始まりは日没から始まっていたようで、クリスマス・イブはクリスマスが始まったということを意味していました。さて、最後のメールは、新型コロナ・パンデミックから私達は何を学んだかをまとめてみました。実は午前中に国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)の運営評議委員会に参加しており、そこで「何故、我が国は新型コロナ・ワクチンの開発でこんなに欧米に水を開けられたのか?」と評議員の大学教授に詰め寄られた米田悦啓NIBIOHN理事長が「用意ができていなかった。我々は専門家を探すところから新型コロナ・ワクチンや医薬品の開発準備に着手しなくてはならなかった」と証言したことが刺激となりました。これは全く尾身茂分科会長の意見と同じだったのです。人類を襲った災難から私達は何を学び、何を学んでないか?1年の締めくくりに考えてみました。人類は失敗から学んで生き延びてきました。日本人はこの災難から果たして何を学んだのでしょうか?

ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。

会員登録はこちらから