皆さん、お元気ですか?
出張解禁といった感じで、現在、札幌に向かっております。2年前には毎週1回は出張があり、それがない時には体調を崩すほどでしたが、すっかり遠ざかっておりました。しかし、ジャーナリストは現場を踏まなくてはなりません。新型コロナの感染状況を見ながら、巻きなおしたいと願っております。今回のメールは来週の水曜日10月13日から15日までパシフィコ横浜で開催されるアジア最大のバイオ・マッチングイベント・講演会、展示会のBioJapan2021の見どころ情報をお届けいたします。今回私は15日午前10時から11時半までF203-204会場で開かれる「iPS細胞アップデート」で京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長とビジョンケアの高橋政代社長と丁々発止のパネルディスカッションをいたします。今調べたら予約で満席ですが、当日、事前に並べば例年は入場できました。お約束はできませんが、まだ予約はまだの方は覗いてみて下さい。BioJapanの詳細情報とセミナーの予約は下記の関連リンクでアクセス願います。今回は3日間、会場におりますので、皆さんと久しぶりにお会いできることを楽しみにしております。

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皆さん、お元気ですか?
皆さんの熱いご支援のおかげで、「新Mmの憂鬱」も一周年を迎えました。順調に読者を増やし、成長しつつあります。日経BP社による「Mmの憂鬱」の突然の廃刊決定でばたばた対応いたしましたが、かえって21世紀型の記者が独立したメディアを運営する絶好のチャンスに転ずることができたと感謝しております。思えばサラリーマンとは本当にローマ帝国の奴隷にそっくりですね。婚姻・居住の自由はありましたが、参政権はなく、収益のほとんども吸い上げられる状態です。インターネットの登場で、メールや人事・会計システム、リモート会議システム、SNSなど、個人でありながらほとんどコストを掛けずに、大企業以上のインフラが入手できるようになった今、大企業の頸木から才能あふれる個人が飛び出す下剋上が始まりました。

欧米では30年前から、大手製薬企業の経営陣よりもバイオ・ベンチャーの経営者の方が報酬高く、経営の自由もある逆転現象が起こり、ビッグ・ファーマのCEOがベンチャー企業のCEOに転ずるケースが増えてきました。我が国では戦後の経済成長と農耕文明の伝統から、なかなかこうした下剋上は起こらなかったのですが、とうとう大手製薬企業や化学企業の経営者より高い役員報酬を上げるバイオ・ベンチャーの経営者が現れたのです。この下剋上、一時的なものだと考える読者も多いかもしれませんが、私は今回の変化は永続性があり、我が国も大手製薬企業の経営者が「ベンチャーって、ええな」と思う時代に入ったと判断しました。時代の大きな変わり目に直面しています。

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皆さん、お元気ですか?
思い返す度に涙が止まりません。坊主の眼にも涙です。偉大な師を失ったような、口幅ったいですが、バイオ産業をこの地に何とか成長させようという同士を失ったような。喪失感です。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)の名誉理事長、近藤達也先生が2021年9月26日午後11時に逝去なさいました。享年80歳。心から心からご冥福をお祈りいたします。実は近藤先生は、アステラス製薬の元副社長だった野口照久先生と並び、我が国のバイオ産業の成長を担保するインフラを整備した偉人です。21世紀初頭、世界が化学合成技術からバイオ技術へと創薬原理を大転換した時、我が国の製薬企業の経営者達が過去のスキル・セットに妄執するあまり、この潮流を逸してしまいました。このままでは欧米と並び新薬を世界に提供してきた我が国の製薬産業が危機に瀕する状況だったのです。下手をしたらスウェーデンのように世界と競合できる製薬企業が消える事態が起こっていても不思議ではなかったのです。実際、2008年前後には抗がん剤新薬の国際的な実用化遅れが“ドラッグ・ラグ”を生み、“癌難民”が第一次安倍内閣で政治問題化しました。我が国の創薬と審査体制の遅れが国民の命の脅威なったのです。新型コロナパンデミックでもこの問題はまだ解決しえてはいません。しかし、1年遅れですが、我が国の企業やベンチャーがワクチンや治療薬開発で急追しています。近藤先生のPMDA理事長就任(2008年)が無ければ、我が国のバイオ産業の急追すら到底期待できなかったのです。

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皆さん、お元気ですか?
自民党の新総裁に岸田氏が選出されました。第1回投票で1票差という見事な僅差で、下馬評の高かった河野氏を破り、決戦投票では257票:170票と差を広げて、圧勝しました。まったく、勝ち馬に乗る自民党総裁選を絵に描いたような結果となりました。岸田氏の最大の勝因は、長老支配を打破するため、党幹部の任期を1年、3期連続までと宣言、鮮烈な立候補に成功したことです。他の候補は立候補まで時間をかけたことも敗因となりました。国会により岸田新首相が選出され、次の衆議院選挙で自民・公明連立政権が成立することが濃厚になりました。私の期待は、総裁選での公約で景気対策・新型コロナ対策が打ち上げられ、令和3年度の補正予算が来年2月には成立することが確実であることです。これにより、我が国のバイオ産業に追い風が吹くと考えています。ところが、どうも我が国の新型コロナ国産ワクチンを開発している担当者に取材すると、皆さん、口をそろえて我が国政府の動きの遅さを訴えるのです。スポーツ用具メーカーの宣伝文句ではありませんが、Just Do it! 新首相に国民が心から望む一言です。

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皆さん、お元気ですか?
まずは読者からご指摘を受け、前回の2021年9月17日号を慎んで再度訂正させていたきました。本文中で「ゾルゲンスマ」をAAV2型と記述しましたが、AAV9型の誤りでした。遺伝子コンストラクト中でAAV2型のゲノム配列を一部使用しているため誤認いたしました。是非、認識を改めていただくために、下記のリンクにアクセス願います。またご指摘に感謝しております。これに懲りずにどうぞよろしく願います。
https://miyata-bio.net/column/0000093/

さて、リキッド・バイオプシーで技術突破が起こりました。

最大の問題であった血中を漂う癌由来のDNA(ctDNA)がどの臓器由来なのか、従来のリキッド・バイオプシーではわからず、ただ、癌関連遺伝子上にドライバー変異があるとしか診断できなかった欠陥が解決されたのです。これによって癌の早期スクリーニングは圧倒的に変化する可能性があります。抗体診断による血中癌抗原の検出では、陽性と判明してもほぼ手遅れという限界が打破されるのです。間違いなく、人間ドックの癌診断サービスはリキッド・バイオプシーによる次世代の癌ゲノム・プロファイル検査に置き換わると考えています。

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皆さん、お元気ですか?
まずは読者からご指摘を受け、前回の2021年9月17日号を慎んで訂正させていたきました。本文中で「ゾルゲンスマ」を髄腔内投与と誤認しておりました。点滴静脈注射製剤であり、文章の一部を訂正させていただきました。是非、認識を改めていただくために、下記のリンクにアクセス願います。またご指摘に感謝しております。これに懲りずにどうぞよろしく願います。
https://miyata-bio.net/column/0000093/

さて、とうとうC型肝炎がヒトの細胞に感染する受容体とリガンドが明らかになりました。これで、今まで商品化できなかったC型肝炎ワクチン開発に拍車がかかります。「ハーボニー」など直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral:DAA)の登場で、C型肝炎の問題は終わったと認識している読者も多いでしょう。確かに、現在、DAAによるC型肝炎ウイルスの持続的除去が可能となったのですが、ウイルス除去後の患者でも肝癌の発症が起こり、残念ながらまだ解決はしていないのです。ワクチンの開発は、肝癌発症の息の根を止めるためにも絶対必要なことを認識していただきたいと願っています。C型肝炎は決して終わった病気ではないのです。

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まずはお知らせです。バイオ目利き人材プログラムBIGの第四期の募集要項を発表いたします。今期の第三期はご好評につき定員に達しております。第四期は2022年7月8日から開始いたします。是非とも来年度の予算で受講費用の確保をご検討願います。料金は企業の規模や機能によって異なります。下記をご参照の上、お申込み願います。限定55社、先着順で選定いたします。
大企業:https://miyata-inst.jp/big4/
VC・金融:https://miyata-inst.jp/big4-vc/
ベンチャー企業(未上場、創業10年未満):https://miyata-inst.jp/big4-vb/

遺伝子治療の実用化はまさに山あり谷あり。副作用による発がんなどの結果、レトロウイルス・ベクターからレンチウイルス・ベクター、そしてアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターへと、遺伝子導入技術の安全性が洗練されてきました。2019年5月米国で、そして2020年5月日本で、スイスNovartis社が「ゾルゲンスマ」(オナセムノゲン アベパルボベック、Onasemnogene abeparvovec)を発売、1回の治療で212.5万ドルから1億6708万円という高薬価も加わり、遺伝子治療製剤初のブロック・バスター製品となりました。ここで遺伝子治療の時代がやってきたと早計にも判断したことを反省しております。今やAAVでも克服しなければならない課題が浮き彫りになってきました。本格的実用化までにはもう一山、安全性の確保という問題を解決しなくてはなりません。

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皆さん、お元気ですか?

2年前の6月、我が国の癌ゲノム医療が本格的に離陸しました。「OncoGuide NCCオンコパネル システム」(シスメックス)と「FoundationOne CDx」(中外製薬)の2種類の癌遺伝子パネル検査が保険収載(技術料56万円)され、我が国の癌患者さんの癌組織に存在する遺伝子の変異プロファイルに応じて、最適な抗がん剤などの処方が選択できる時代となったと喧伝(私も)しました。ではこれだけ国民の期待を高めた我が国の癌ゲノム医療の成績はどうだったのか?2年後のデータを確認すると、期待とは大きく外れた姿が見えてきたのです。我が国が先端医療の技術革新を咀嚼し、国民の幸福につなげるためのインフラの欠陥が露わになったのです。また、ため息です。

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皆さん、お元気ですか?
ヒト・ゲノム研究は2003年に終わったのでは?と思っている読者も多いとは思いますが、米国政府は実に粘り強く、ヒト・ゲノム研究を医療の革新に繋げるために多様なプログラムをまだまだ立ち上げています。ヒト・ゲノムのDNA配列を解読したのが、2003年だと考えると、これはヒトの生命の分子的なメカニズムを解読するための“ロゼッタ・ストーン”を手に入れる前段階に過ぎません。単に30億塩基のDNDの配列、しかもたった3人のゲノム配列を記述できたからといって、その意味はほとんど解釈しえなかったのです。つまり、ほとんど医療には役に立たなかったのです。ヒト・ゲノム解析の成果を医療に活用するために、米国政府はトランスクリプトームやプロテオーム、ヌクレオ―ムなどマルチオミックス解析と組み合わせ、ようやっとヒト・ゲノムの謎を解くデータ・ベース、つまりヒト・ゲノムのロゼッタ・ストーンを、100万人から1000万人規模の集団ゲノム解析と経時列の個人ごとの健康データを除き、ほぼ構築し終えたのです。そして満を持して2021年9月、米国国立衛生研究所ヒト・ゲノム研究所が立ち上げを発表したのが、ゲノム変異が生命機能に与える影響解析(Impact of Genomic Variation on Function:IGVF) コンソーシアムだったのです。ヒト・ゲノム研究をもう一歩、革新的な医療、そして人類の幸福に近づける試みです。

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全米オープンもベストフォーが出そろうタイミングとなって参りました。私の贔屓だったシフィオンテク選手(ポーランド)が本当に絶好調のベンチッチ選手(スイス)に僅差で敗れてしまいましたが、新たに若干19歳のカナダのレイラ・フェルナンデス選手に目移りをしております。大会中に誕生日を迎えた新鋭です。小柄ですが賢く,しかも精神が頑強で、大坂なおみ選手にマッチポイントを握られながら競り勝ち、大坂選手のメンタルに打撃を与えたほどです。連戦でどこまで身体が持つかが唯一の心配ですが、今年も女子シングルスは神聖誕生となるのではないかと楽しみにしています。

明日の講演の準備で癌免疫療法の調査をして、びっくりしました。治療対象の癌種拡大、さらにサードライン(3次治療)→ファーストライン(1次治療)への適応拡大競争がほぼ終結、いよいよ併用療法の真価が問われる第二段階の激戦の火ぶたが切られていたのです。新たな参入者と新たな治療標的が入り乱れる乱戦を今回は解説して見たいと思います。癌免疫療法のOS(全生存率)20~30%を打破する競争が始まったのです。この戦いの果てには、進化の宿痾である癌の制圧が見えてくると期待しています。

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